「含み損」。
投資をしている人にとって、これほど嫌な響きはありませんよね。
画面が真っ赤に染まり、資産が目減りしていくのを見るのは、何回経験しても心臓に悪いものです。
「ナンピンして平均取得単価を下げるべき?」
「これ以上下がる前に損切りしたほうがいい?」
そんな風に焦ってしまう方は多いはず。
実際、マインドセットを説くメディアは数多くありますが、頭ではわかっていても感情が追いつかないのが投資の難しさです。
私は2年弱前に、高配当株投資を本格的に始めました。
そして、運用開始直後にいきなり株価が30%弱も暴落。
以来、ずっと含み損を抱え続けている銘柄があります。
それが、ケル(6722)という会社です。
しかし、私は今、この含み損に対して1ミリも焦っていません。
なぜ、マイナス30%弱という状況で平然としていられたのか。
それは、この会社を投資先として選んだ時に「揺るぎない選定基準」を持っていたからです。
今回は、含み損で夜も眠れない不安を抱えている方へ向けて、私が焦らずに済んでいる理由とその裏付けについてお話しします。
1 含み損の主、コネクタメーカー「ケル」とは?
まずは、私が含み損を抱えながらも保有し続けている「ケル」について簡単に紹介します。
ケルは、電子機器を繋ぐ「コネクタ」を製造している中堅メーカーです。
地味な存在に見えるかもしれませんが、その事業内容は非常に堅実です。
ケルの主要マーケットと強み
| 市場カテゴリー | 主な用途 | 特徴 |
| 工業機器(27.9%) | 半導体製造装置、ロボット、鉄道 | ケルの稼ぎ頭。自動化が進む中で安定した需要がある。 |
| 医療機器(14.0%) | MRI、CT、超音波診断装置 | 参入障壁が高く、高利益率な分野。 |
| 車載機器(拡大中) | カーナビ、ADAS(運転支援) | EV化の流れで最も成長が期待される。 |
| 画像・遊技(約20%) | 放送用カメラ、パチンコ | 周期的な変動はあるが、一定のシェアを保持。 |
2 含み損30%弱でも焦らない!私が「ケル」に惚れ込む4つの根拠
株価が3割近く下がっていたのに、なぜ私は平気なのか。
その理由は、単なる強がりではなく、以下の4つの具体的な根拠があるからです。
① 「現場の目」による業種の将来性
投資の判断を数字だけで行うのは難しいものです。
そこで私は、医療従事者である夫の知識を借りました。
ケルの強みの一つである「医療機器(MRIやCTなど)」について、現場の肌感覚を聞いたところ、 「日本の人口が減少しても、高齢化が進む将来において需要がなくなる物を作っているわけではない」というアドバイスをもらいました。
身近なプロの意見は、どんなレポートよりも説得力があります。
「世の中に必要とされ続ける事業かどうか」を確認できたことが、大きな安心材料になっています。
② 世界が認める「超ニッチ分野」の技術力と海外展開
ケルが手がけているのは、単なるコネクタではありません。
超高速伝送に対応した極細同軸コネクタなど、「特定の超ニッチ分野」において世界トップクラスの評価を得ている技術者集団なのです。
現在の海外売上比率は約30%ですが、この高い技術力は海外市場でも十二分に通用するものです。
今後、この数値が40%、50%と拡大していけば、今の配当利回りに加えて「成長株」としての楽しみも大きく広がります。
「日本国内だけでなく世界で勝負できるカードを持っている」という事実は、長期保有する上での強力な自信になります。
③ DOE(自己資本配当率)3.8%導入の衝撃
高配当株投資家にとって、最も怖いのは「減配」です。
しかしケルは、2025年3月期から配当方針を変更し、「DOE(自己資本配当率)3.8%」を目標に掲げました。
これが何を意味するかというと、「企業の業績が一時的に悪化しても、積み上げた自己資本をベースに安定して配当を出す」という宣言です。
一般的な「配当性向」だと利益が減れば配当も減りますが、DOE採用企業は配当の安定性が格段に高まります。
「含み損でも配当はしっかりもらえる」という確信が、ホールドする勇気を支えています。
④ 鉄壁の財務:自己資本比率70%〜80%
ケルの財務諸表は、まさに「超・優良」です。
- 圧倒的な健全性: 自己資本比率は例年70%〜80%。一般的に40%あれば倒産しにくいと言われる中、その約2倍の水準です。
- 無借金経営に近い: 有利子負債が極めて少なく、金利上昇局面でも経営が揺らぎにくい構造です。
- ニッチ戦略の勝利: スマホのような競争の激しい分野ではなく、産業・医療用という「多品種少量・高付加価値」な領域で利益を積み上げてきた結果、内部留保が厚くなっています。

「最悪、倒産して紙切れにならなければOK」という精神の私にとって、
この財務の強さは最強の「盾」です。
3 これから「ケル」を購入したい人への注意点
ここまでケルの魅力を語ってきましたが、今から買いたいと考えている方には注意してほしい点もいくつかあります。
- 出来高が少なく、値動きが激しい: ケルは時価総額がそれほど大きくないため、売買高(出来高)が多くありません。そのため、一度売りや買いが集中すると、今回のように株価が大きく上下することがあります。
- 景気敏感な工業機器セクター: 売上の約3割を占める工業機器分野は、景気の波を受けやすいのが特徴です。製造業全体の不況時には、一時的に業績が落ち込むリスクがあることを理解しておく必要があります。
- 長期保有が前提の銘柄: 短期的なキャピタルゲイン(売却益)を狙う銘柄ではありません。あくまで「安定した配当」を長期でもらい続けるための銘柄だと割り切れる人向けです。
4 「焦り」を消すのは「納得感」
投資の世界に「絶対」はありません。
しかし、もしこの先ケルが倒産したり、一生株価が戻らなかったりしても、私は後悔しない自信があります。
なぜなら、 「あれだけ財務諸表を読み込み、夫に意見を聞き、海外展開の伸び代やDOEの指標まで自分で納得して選んだ結果なら仕方ない」 と思えるほど、事前に勉強して向き合ったからです。
含み損で焦ってしまう原因は、株価が下がったことそのものではなく、「なぜその株を買ったのか」という根拠が自分の中で曖昧になっていることにあるのかもしれません。
まとめ:含み損は「勉強の成果」を確認する時間
含み損が出た時こそ、その銘柄を信じた理由を再確認するチャンスです。
- 世界トップクラスの技術と、海外展開の伸び代はあるか?
- DOE導入で配当の安定性は増したか?
- 会社が潰れないだけの「体力(財務)」はあるか?
超長期で資産形成をしたい私にとって、ケルは今でもピッタリの投資先です。
一時的な数字の上下に一喜一憂せず、どっしりと構えて「5年後の退職」という大きなゴールを目指したいものですね。
もし今、あなたが含み損で悩んでいるなら、一度チャートを閉じて「その企業の財務」を眺めてみてください。

意外な安心材料が見つかるかもしれませんよ!
